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 Paragraph  2006 バックナンバー

 

   2006年 11月号

 10月7日、富士山初冠雪。野分が去り連休に入った都心は閑散として、六本木ヒルズから息を呑むほど中秋の名月と東京タワーがくっきり並ぶのに見惚れる▼8日中国、9日韓国を安倍総理夫妻が訪問。久々のファーストレディーが新鮮▼9日午前10時35分、北朝鮮が地下核実験。14日、国連安全保障理事会は国連憲章第7章(平和に対する脅威への対応)に基づく制裁決議を全会一致採択。退席する朴吉淵(パク・キルヨン)北朝鮮国連大使は、1933年2月24日、「連盟よさらば」と席を立った松岡洋右氏に重なる。戦争へと追い込まれていったドイツと日本は、その愚かさを身を以て知る事となる。金正日氏が天皇の様に民を思ってくれるようにと願う▼12日、難波宮跡で7世紀中頃の最古の万葉仮名の木簡を発見。7世紀末の柿本人麻呂が万葉仮名を完成したという説が覆りそうだ。同日、札幌は赤で埋まり日ハムが日本シリーズ制覇▼18日から21日まで日韓中露を歴訪するアメリカのライス国務長官を見ていると、子供の喧嘩に親が出た様な居心地の悪さを感じる。アジアの問題をアジアで解決できぬのは歯がゆい▼苛めによる自殺が続く。心ない教師の言動は1986年、教師4人も参加した葬式ごっこに傷つき鹿川裕史(ひろふみ)君が自殺した事を思い出させる。20年の月日は、人を愛し尊ぶ事を更に希薄にしたのだろうか▼マイケル・J・フォックス氏はバック・トゥ・ザ・フューチャーでお馴染みだが、20日、米国中間選挙の民主党のCM出演で話題となった。人気の最絶頂、29才でパーキンソン病を発病し、やがて第一線から退いていった。治療研究の為の財団を立ち上げ、「ラッキーマン」を執筆。インタビューなどでの彼のエスプリに富む話は、病を潔く受け入れた心の豊かさ、強さに溢れる。パーキンソン病で失う物があった事で、得た物、持っている物に気付けたと、苦難をラッキーに変えた。最初は現実逃避から誰にも言う事も出来なかった。やっと打ち明けた時、妻、親、兄弟、4人の子供達は、大きな支えになった。多分どんなに彼が必要かを伝える事が出来たのだろう。ラッキーだったのは、寧ろ家族や友人達の深い愛があった事ではないだろうか。

 

   2006年 10月号

 9月6日、秋篠宮妃紀子様男子ご出産。41年ぶりの皇室男児に海外でもトップ報道に。21日、悠仁(ひさひと)様のお名前が皇統譜に記された▼> 14日から17日迄、横浜国際プールで開催されたシンクロナイズドスイミング第11回ワールドカップ(W杯)はフリーコンビネーション銀、ソロ、デュエット銅、最終日チームは銀メダル。ロシアの圧倒的な美しさには及ばなかったが、スポーツらしい力強さが良い▼20日、自民党総裁選は安倍晋三氏が66%の464票獲得。候補者の麻生太郎氏は世襲5世、安倍晋三氏3世、谷垣禎一氏と降りた福田康夫氏は2世。みな3世の小泉純一郎氏同様、自然体の英語を話す。野党も小沢一郎氏2世、鳩山由紀夫氏4世。世襲議員ばかりでは少し不安である▼21日、東京地裁は入学式、卒業式での国旗国歌強制を違憲と判決。2年に及ぶ裁判期間、教師として他にするべき大切な事があったのでは、と気になる。挨拶も生徒に強制すると違憲だろうか▼23日、紅葉の北海道大雪山は旭岳に初冠雪。次の季節の到来を告げている▼24日、大相撲秋場所千秋楽結び、朝青龍ー白鵬戦に色鮮やかな懸賞幕51本。相撲人気も日本経済も悪く無いと言う事か。両手で大切そうに受け取った横綱朝青龍の謙虚さが心に残る▼25日、プロ野球高校生ドラフト会議、33人が指名され4人が抽選。籤で人生のスタートを切る高校生が憐れに思うのだが▼26日、安倍内閣発足。「チーム安倍」と揶揄するが、日本をしっかり運営出来ればそれで良い▼30日、唯一の国産旅客機YS-11が沖永良部ー鹿児島間を日本最後のフライト。64席の狭い機内、双発プロペラの振動、1,200メートルの滑走路で離着出来る力強いエンジン音。飛行高度が低いので地上の景色がまざまざ見える。飛んでいると体感できる飛行機だった。1957年(昭和32年)のプロジェクト設立から7年、東京オリンピックの1964年(昭和39年)に実用化され、聖火を那覇、鹿児島、宮崎、札幌と運んだ。焼け野原からの復興の象徴にも見えた、あの頃の希望と熱気が懐かしい。

 

   2006年 9月号

 今年の8月は敗戦を振り返るより小泉総理の15日靖国参拝の話題ばかり目立った。早朝のヘリコプターの爆音で靖国の画像を見る▼16日、蟹採り漁船がロシア沿岸警備隊に銃撃され、森田光広さん(35歳)が死亡。歯舞群島の貝殻島は納沙布岬から僅か3.7Km。これは戦死ではないのか。年々蟹にロシア産の表示が増え、前より安価になった。その分、漁師は危険だったのかと、美味しく食べた蟹の味が今では苦い▼17日、老人ホーム職員が排泄物を「サリン」と言うテープが流れた。職員達のモラルの低さは言いようがないが、老人の排泄は、生きてきた年月だけ澱んだ臭いで、一人一人違う。一人に慣れても、又、別の人が来れば、その臭いに慣れるまで嘔吐に堪えながら襁褓を取り替える。排泄した気持ち悪さから触ってしまう事も多く、身体から寝具まで綺麗にせねばならない。録音をした家族はどこまで親の介護をしたのだろうか▼介護に携わる悲劇報道が絶えない。高齢者対策として消費税値上げが言われているが、1989年の消費税導入時も、政府は老人福祉の為と説明していた▼レバノンにヒズボラの「カミカゼ」と名乗る村があるという。村人は誇らしげに日本の特攻隊の神風精神を讃えるが、日本は今ではあれは戦時下の狂気だと思っている▼29日、元帝京大、安部英(たけし)氏の薬害エイズで亡くなった患者の資料が公開。米国でエイズ発症時、大森実氏は血液製剤大量輸入に警鐘を発していたのに、厚生省は何をしていたのか。危険と知りつつ中学2年の少年に非加熱製剤を投与し、発症データを取り続けた医師団。人が人と見えなくなった時、狂気が起きる▼地球上の全てのものに平和が来ることを切に願う。

 

   2006年 8月号

 7月2日午前6時、沖縄県尖閣諸島日本の排他的経済水域(EEZ)内で、中国の海洋調査船が海水など採取。海上保安庁の巡視船が中止を求めるが、3日午前0時30分頃まで調査を行う▼5日午前4時開始のサッカーW杯、独・伊戦観戦中、4時29分に「北朝鮮のミサイルが日本海に着弾」とテロップ。17時30分迄に弾道ミサイル7発が日本海に発射された。弾道ミサイルはロケットと同じ構造で宇宙まで飛び、地球の引力で戻る。1発目のスカット以外はスカット新型もノドンも日本に届く。3発目テポドン2号はすぐに爆発したが射程はグアムやアラスカまである。第一報は米軍から。日本海に日米のイージス艦や米国のミサイル追跡機「コブラボール」、ミサイル追跡艦「オブザベーション・アイランド」、早期警戒衛星、海上自衛隊偵察機EP3が配備された▼同日6時11分、竹島西北45q日本のEEZ内に韓国の海洋調査船が韓国海洋警察庁の警備艦と侵入、竹島領海に進む。海上保安庁巡視船の中止要求の中、21時8分にEEZの外に出る▼改めて日本は無防備に思える。先月小泉首相の米国でのブッシュ大統領との蜜月旅行は良かったのでは等とさえ思う▼同日、日本は国連安保理会議を招集。小泉、麻生、安倍3氏の強さに期待▼拒否権をちらつかせる中国、ロシアに、国連分担金を確かめてみる。加盟国は192ヶ国。1位の米国は42,350万ドル(22%)、2位日本は33,320万ドル(19.468%)。中国、ロシアは合わせて5,380万ドル(3.153%)でしかない。残りの常任理事国、英国は4位で10,460万ドル(6.127%),フランス5位10,290万ドル(6.030%)。サミット(重要先進国首脳会議)参加国では残りのドイツ14,780万ドル(8.662%)が3位,イタリア8,340万ドル(4.885%)6位、 カナダ4,800万ドル(2.813%)7位となる。分担金は国民総生産(GNP)からの算出するのだが、欧州諸国が日本より貧しいとは実感できない▼マスコミも語り尽くしたか、日々のニュースを流し始めた。戦争はこんな風に日常を続けるなかで始まるのだろうかと不安であった▼12日、レバノンのシーア派民兵組織ヒズボラ(神の党)がイスラエル兵を拉致。こちらは戦いの火蓋が切られた。月末までにレバノン側死者600人、イスラエル側死者51人▼15日、国連安保理事会は北朝鮮非難決議を国連憲章第7章は外したが採択。やや安堵する▼17日、ロシア・サンクトペテルブルク・サミットは北朝鮮への拉致を含む非難声明を出した。軍隊を持たぬ以上こうして各国の協力を得るしか身を守るすべがない▼同日、午後3時19分(現地時間)、ジャワ島南部沖M7.7の地震。津波による死者は663人、6万8千人以上が家を失う。この日、インドネシアは新学期が始まり、5月のジャワ島中部地震の被災の子供達は、ユニセフから配られた学用品を持ち学校に行った日でもある▼7月は終るが梅雨が明けない。温暖化の影響といわれる梅雨前線の居座りは各地に大雨をもたらし、19日の天竜川堤防決壊を始め近隣諸国を含め大きな被害。一方、フランスでは熱波が続き64人死亡▼9日、サッカーW杯はPK5-3でイタリアが優勝。今回フランスチームの多彩な人種が気になっていた。決勝戦を見ながら、嘗ての植民地の大きさと移民受け入れ政策の為かと考えていた矢先、ジダン選手の頭突き。テレビのインタービューに答える物静かな語り口が苦しみの深さを思わせ、成功者と雖も他国で生きるのは大変な日々であったのだろうと想像される。自国とは吹雪に自宅に居るほどの保護力を持つ。まして平和で経済的に恵まれている我が国においては▼原油高騰もありバイオエタノール燃料が注目されている。サトウキビやトウモロコシから作り、二酸化炭素軽減にもなる。米国ではブラジルから大量に輸入し、砂糖生産に影響が出ている。来月から和菓子の甘みが少し減るかも知れない▼7月の晴れ間、真鶴半島より三ッ石を眺める。こんな穏やかな時が誰の上にもあります様にと願う。

 

   2006年 7月号

 1977年9月、古河電工の知人に誘われ国立競技場に行った。サッカーのルールも知らぬ観戦だが、最後にペレが鮮やかなバナナシュート。ペレ引退試合であった。6月8日W杯開幕式で懐かしいペレを見て、あの日のシュートを思い出す▼印象的なのは11日未明のスウェーデン対トリニダート・ドバコ戦の雪のように舞うポプラの綿毛と国歌を歌うクロアチア選手達の顔。ユニフォームの赤白格子柄は初代クロアチア王トミスラフの925年戴冠時の王冠の文様である。長きに外国支配を受け、ユーゴスラビアに統合。独立は1991年。その後もバルカンの火薬庫と呼ばれ紛争の絶えぬ地域。守らねば消える国の切なさを感じた▼7日、1950年代のドミニカ移民政策は国の対応が違法、しかし賠償請求権は消滅と判決。いつも時効制度に疑問を持つ▼9日、五輪メダリスト山本博氏がアーチェリーW杯トルコ大会にて団体優勝、10日、個人準優勝。先ずはこちらに祝杯▼16日、マイクロソフト社のビル・ゲイツ氏が2008年7月の引退を発表。290億ドル(約3兆3千億円)基金の夫妻の慈善財団「ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ基金」の活動に専念する。26日、世界2位の富豪、アメリカの投資家のウォーレン・バフェット氏が370億ドル(約4兆3千億円)をゲイツ氏の慈善事業に寄付を表明。寄付の為の株式や債券の売却益は控除となる税制は見習いたい▼20日、イラクの陸自撤退決定。しかし空自は拡大。イラクの役に立てたと信じたいのだが▼5日、午前中釈明会見、午後4時半逮捕された村上世彰氏が、26日、5億円で保釈。上空にへリコプター5機の爆音が響く▼28日、金英男氏家族の再会劇の放映を見る横田夫妻が痛ましい。訪米中プレスリーに興ずる小泉総理に呆れるしかない。

 

   2006年 6月号

5月14日、70年前の1936年(昭和11年)に万世橋駅に併設された交通博物館が閉館した。汽車、電車、複葉機、飛行機、船、ダ・ヴィンチの考案した飛行機の模型。少し薄暗い館内はいつも子供達の熱気に溢れていた。今一度眺めれば御茶ノ水駅から延びる中央線は昌平橋駅、万世橋駅の名残の煉瓦造りである。これも皆無くなるのだろうか▼15日、38年前(1968年)発掘された恐竜の化石、首長竜「フタバスズキリュウ」は新種である事が判明でき、学名を『フタバサウルス・スズキイ』と命名したと国立科学博物館などの研究チームが発表。発見した高校生の鈴木直君は古生物の研究者になり、現在いわき市アンモナイトセンターの主任である▼16日、与謝野経済財政・金融担当相は景気拡大局面が「いざなぎ景気」を超えると発言。少しも実感できないのは経済格差の由縁か▼17日、米国カトリック団体は、映画「ダ・ヴィンチ・コード」の配給元ソニーの不買運動を提唱。ムハンマドの戯画は表現の自由でも、キリストとなるとナーバスである▼ダ・ヴィンチのいたフィレンツェは家具修理工房が多い。街を散歩していると窓越しに職人達の巧みな手捌きがよく見える。こんなにも需要があるのかと感心したが、中世そのままの町を眺め、それを支える職人が多いのだと気付いた。器用な日本人は古い物を壊し続け、もはや職人は僅かである▼26日、サッカー独W杯の選手23人は、サムライブルーのネクタイを纏い成田から出発▼27日、インドネシア・ジャワ島でM6.3の地震発生。一昨年12月のスマトラ沖大地震・津波に続く惨事である。ジャワ島は大航海時代、初めての株式会社であるオランダの東インド会社の拠点であった。羅紗、天鵞絨、砂糖、硝子、書籍を積んだオランダ船はここから平戸・出島へ、そして銀や銅と共に浮世絵に包まれた伊万里陶器がヨーロッパへ、と日欧文化の交差点であった。共に火山列島に住む国同士、出来うる限りの支援をしてゆきたい。

 

   2006年 5月号

 4月5日、北海道・稚内で流氷を確認。4月の流氷初日は今まで記録がない。アムール川はモンゴル、中国、ロシアを流れシベリアに至る。河口の真水は容易に凍り塩度の濃い海水の上を1000q、大きくなり乍ら北海道沿岸に到着。アザラシがその上でノンビリ昼寝などしている姿もよく見られるという、ユーラシア大陸の植物プランクトンを含む流氷は、母アムールと呼ぶに相応しい恵を毎年もたらす。しかし今年は昨年11月の中国の石油化学工場爆発事故による有毒物質の影響が気になる▼7日、民主党代表選は小沢一郎(63才)が菅直人(59才)に勝利。23日、衆院千葉7区補選は自民党の斎藤健氏に、民主党の太田和美氏が競り勝った。東大、ハーバード卒より、期待は若さか、小沢氏か▼18日、ゴビ、タクラマカン砂漠の黄砂が東京を蔽い、東京タワーや高層ビルが霞んだ。黄砂は酸性雨を中和する利点もあるが、中国からの公害はそれを上回っている▼19日勃発した竹島を巡る日韓緊張は、話し合いで幕引き。1954年以来、島は韓国に実行支配され、漁民は拿捕、抑留され死者も出ている。国は国民の安全を守る事が必須である▼27日夜10時、5機のヘリコプターが六本木ヒルズへ飛ぶのを見て堀江貴文氏の釈放を知る。95日間で二百冊を読破し8s減量。傲慢さは消え、時代の波頭から降りホッして見える。苦境をどの様な糧とするか、その試金石を大なり小なり皆持っている▼28日(日本時間29日早朝)、横田早紀江さんとホワイトハウスで面談したブッシュ大統領は「人間の尊厳と自由を話せぬほど忙しくない」と語る。小泉首相だけでなく天皇皇后陛下も会って頂きたい。両陛下はきっと望まれている▼ウクライナに住む元日本兵、上野石之助さん(83才)が両親の墓参りに19日より28日迄帰国し、岩手県の故郷で兄弟や親族と過ごした。63年の月日は、日本語を簡単な挨拶程度しか思い出させない。

 

   2006年 4月号

 3月1日、トップ退陣要求がされていた日本航空は、経営陣交代を発表。21年前、世界一安全と唱われた日航機が相次ぐ事故の末、御巣鷹山に墜落。520人の犠牲者がでたのを思い出す。内紛と経費節減による皺寄せが、安全への軽視になったと聞く。やはりと思う今回の内紛劇。先ず安全対策を盤石にして貰いたい▼3日、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)開幕。13日、対米戦で王監督に「野球がスタートした国であってはいけない」と言わせたデービッドソンの誤審、韓国戦2敗、まさかの準決勝出場、そして22日、キューバを下して優勝、と日本は熱くなった。喜ぶイチローと王監督を見ながら、万に一つのチャンスを呼んだのは、偉大な二人が持つ強運だと感慨に耽る▼9日、景気回復を踏まえ日銀福井総裁が量的緩和政策解除を決定。しかし弱者は強者に益々飲み込まれている▼10日開催の第9回冬季パラリンピックは、11日、ノルディックスキーバイアスロンで小林深雪選手の金メダルで始り、19日の閉会までに金2、銀5、銅2を獲得▼フランスの若者、学生、労働者によるCPE(Contrat Premiere Embauche:新規雇用契約)への抗議デモ拡大は、遠くはフランス革命、近くは1968年のカルチェラタンの五月革命を思い起こさせる。終身雇用CDI(Contrat Duree Indeterminee:無期労働契約)が企業の新規採用を躊躇わせ、失業者を多くしている現状の打開策だが、成立すれば、いずれ26才以上、2年以上の者にも適応されるだろうと市民と若者が一体化した。今、フランスは燃えている▼31日、民主党前原代表辞任、永田氏辞職。あまりに遅すぎる決断に言葉も出ない▼桜が満開となり3月が終った。こちらは潔く散ったりせずに入学式まで残って欲しい。

 

   2006年 3月号

2月に入り合格祈願絵馬奉納が賑う中、10日、小泉首相は太宰府天満宮から梅を贈られ「梅さけど鴬なけど一人かな」と一茶を一句。ライブドア、米牛肉、耐震、施設庁談合問題の最中、16日、偽メールに飛びついた永田氏の国会質問から民主党は積み木崩し。ライブドアの堀江氏達が学生サークル延長と揶揄されるが、松下政経塾卒の前原氏達も同様に見える▼スキージャンプの動画マスゲーム、ダンテ「神曲」の朗読。ボッティチェリの「ビーナス誕生」は西風の神ゼフロスと妻が空を舞い、五本の管から燃える聖火の下、パヴァロッティが「誰も寝てはならぬ 」と唄い11日未明、トリノオリンピックが開催した。連日夜明け迄観戦の末、23日、フィギュアの荒川選手が金メダル。東洋の女神と称され、毅然、気品、優雅は群を抜く▼7日、秋篠宮妃御懐妊が報道。皇室典範改正論議は中断となる。何故か皆、男子の気がしている▼16日、神戸空港開港。便利だが約3千億円の返済が心配▼17日、フィリピンのレイテ島で地滑り。小学校ごと2千人のギンサウゴン村が飲みこまれた。24日、アロヨ大統領がクーデター計画発覚と非常事態宣言▼18日、国産ロケット3機目のH2A9号機が打ち上げ成功▼20日、厚労省が台湾のハンセン病25人に補償金支給を初決定。遅すぎたかもしれぬが一歩前進である▼22日、イラクでシーア派聖地アスカリ廟が爆破。スンニ派との報復合戦が心配である▼同日、昨年島根県が制定した「竹島の日」。19日より韓国夫婦が居住を始めてた。24日合意の日韓歴史共同研究に両国民の理解を期待する▼14日、オーストリアとドイツで白鳥から鳥インフルエンザ検出。感染が拡大すればサッカーW杯開催が危ぶまれる。24日、農水省は、フランスの七面鳥の鳥インフルエンザ感染でフォアグラなど輸入停止。こちらは食通を嘆かせている。

 

   2006年 2月号

 20年ぶりの豪雪に雨雲のない東京でも寒さに身を切られる。野菜の高騰や雪の被害が連日報道。千葉の農家から届いた小松菜も15p程だったが、寒さに締まった葉はコクがあり正月の雑煮を彩った。1月7日、漸く除雪に自衛隊出動。雪による死者は27日迄に114人、3分の2は65歳以上である▼残念なニュースが続いた。ニコンのフィルムカメラ撤退とソニーのウォークマン及びアイボの製造、キュリオの開発中止である。景気回復の今、何故世界で垂涎の商品を創ってきた情熱を捨て、何処へ行くのか▼日立製作所が6年かけ開発した『心語り』は、ALS患者の意志伝達装置である。前頭葉の血液量変化を測定し、イエス・ノーを判別する。製品化したエクセル・オブ・メカトロニクス社は「電気の宮大工」を名乗る▼16日、ライブドア強制捜査、23日、堀江貴文氏逮捕。リクルートの江副浩正氏、角川書店の角川春樹氏と時代の寵児は皆留置所に送られた▼17日、国会証人喚問でヒューザー社の小嶋進氏は「証言を控える」と30回▼21日、センター試験の幕開けは日本列島が雪に覆われた。ゆとり教育世代の試験は平均点が30点上がり、理系も公式を使う暗記へのウェートが目立つ▼株の仮想取引を授業に取り入れる小中学校が増えている。米国の真似らしいが、円周率を3と教え、代わりに株売買を教える事が割り切れぬ。ニート、フリーター対策予算が380億円。むしろ学校教育に廻すべきと思う▼26日、パレスチナの選挙はハマスが勝利。イスラエルのシャロン大統領は危篤が続き中東に再び暗雲▼20日開催の通常国会。連日、ライブドア、耐震、米国牛肉問題で紛糾。将に『国会は踊る』である。年度の初め、予算、法案等の議論を望む。

 

   2006年 1月号

 12月に入り、漸く木々が色づいた。愛でる間もなく、20年ぶりの寒波に、紅葉は木枯らしに舞い、11日、霙(みぞれ)は初雪となった▼毎年スウェーデン大使館で、13日の聖ルシア祭が催される。金髪の少女達が長い白い衣装を纏い深紅の帯をつけ、蝋燭を手にサンタルチアを歌いながら行進する。中央の少女の頭には苔桃の冠に5本ほどの蝋燭が灯される。今年は男の子達が、赤いサンタクロースのようなトムテニッセという北欧の妖精に扮し、一段と賑やかだった。ルシアは冬至の祭りである。北欧ではこの時季、2時を過ぎれば暗くなる。太陽が長くなる分岐点がどれほど待ち遠しいだろう▼クリスマスも、4世紀、教皇ユリウス一世が当時ローマで普及していたミトラス教の冬至祭と同じ日に定めた。ミトラスはペルシャを起源とし、インドをへて弥勒菩薩となったと言われる▼23日、72歳になられた天皇陛下は、耐震問題の内河氏や木村氏と同世代である。11,12歳で終戦を迎えた軍国少年達は、何を見たのだろうか。サイパン訪問が心の重い旅だった、とお話しされた陛下は、戦争責任を一身に背負おうとなさっている様にお見受けする▼8日、ジェイコム株が誤発注。ITに振り回され407億の喜悲劇が生まれた▼13日、ホンダのアシモがさらに進化。その滑らかな動きは、遠からぬ日にアトムが来るのを予感させる▼15日、イラク連邦議会選挙。投票率は67%と高いが、未だにテロで命は失われ続けている▼25日、 英国エリザベス女王は「世界は住むのに楽で安全だとは限らない。しかし我々が生きる場所は、この世界しかない」とクリスマススピーチ▼同日、フィギュアスケートの冬季五輪代表6人が決まる。心は2月のトリノへと逸る。

 

 

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