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 Paragraph  2005 バックナンバー
   2005年 12月号

 11月、仏国ではアラブ、アフリカ移民の暴動がエスカレート。夜間外出禁止令、非常事態法が発動され、17日、3週間を超える嵐は沈静した。「自由・平等・博愛」も立場が違えば虚しくなる▼6日、日本に亡命していた元ペルー大統領フジモリ氏がチリで拘束。しかし来年4月の大統領選に向け活動中である。5年間、汚名を晴らすチャンスを待っていたのか▼15日、簡素で心のこもった紀宮様の結婚式に、日本人が忘れた心を見る。両陛下の嬉しそうなお顔から、重責を負うご一家を、どんなに支えていらしたのだろうと思う▼三笠宮様のお話で女性天皇と女系天皇の違いを知る。皇室典範改正は、先ずは当事者の方々にお考え頂くのが一番と思うが▼3年前、小惑星に名前を着陸させるという主旨の、「星の王子さまに会いに行きませんか」キャンペーンがあった。20日、149ヶ国88万人の名前を包んだソフトボール大のターゲットマーカーを、探査機「ハヤブサ」は、馬鈴薯形の長さ540メートルほどの小惑星「イトカワ」に無事投下。25日、岩石採取にも成功。地球との距離は3.2億qだが、約20億qの旅をして、2007年の6月に地球に戻る▼20日、東京国際マラソンで高橋尚子優勝。30日、琴欧州大関昇進。とスポーツ界はちょっと明るい▼24日、リベリアのエレン・サーリーフ女史がアフリカ初の女性大統領に決定。もったいない運動のケニアのワンガリ・マータイ女史と最近アフリカ女性の活動が目立つ▼10月30日に光度マイナス2等の火星が大接近。。見つけ方は2年前の6万年ぶり光度マイナス3等の超大接近時に習得。夜中に天頂を見上げればよい。都会ではオリオン座さえ霞む昨今、天空に火星はぽつんと赤く輝く。次は13年後。夕刻に南西に沈む金星を眺め、夜更け天頂を見上げる日が続いている。

 

   2005年 11月号

 10月8日パキススタンでM7.6の地震。死者は5.5万人を超える。複数の村が土砂に埋まったカシミール地方は、22万kuがインド45%、パキスタン33%、中国22%に分かれ、1947年の印パ分割以来紛争が絶えない▼救援品を女性の手からもぎ取る男の映像に目を疑う。奪い合いで死者もで、物資を売り捌く者もいる。長い争いは心をそこまで荒廃させたのだろうか▼イスラマバードで国際協力機構(JICA)の楢原覚氏が死亡。阪神・淡路地震を体験し青年海外協力隊員になった。都市廃棄物対策の専門家である。16日、「お別れ会」に向かったJICAパンジャブ州地方行政サービス向上プロジェクトの猪又修氏が交通事故で死亡。痛ましい出来事で志の高い活躍を知るのが残念である▼JICAは1974年に設立、技術協力を中心に活動している。日本も戦後45年間、多くのODAの支援を受けた。東海道新幹線、名神高速道路も世界銀行から借り受けた。全てを返済し終えたのは1990年である▼23日、朝日新聞はアジア開発銀行がアジア通貨単位ACU(アキュ)を2006年から公表すると掲載。ASEANと日本、中国、韓国の13国が参加する。為替リスクが無いのは良いが、各国の固定換算レートを割り出すのは容易でない。公平に徹する精神面の成熟が必要である。ユーロは通貨単位から通貨、紙幣への移行に23年10ヶ月かけた。こちらも慎重に進めたい▼26日、ロッテが日本シリーズ制覇。背番号26のファンは、バレンタイン監督の下、カトリーヌ被災や心臓移植手術の募金に協力する人達でもある▼31日、第3次小泉『改革続行』内閣が発足。新人マドンナ猪口邦子氏は少子化・男女共同参画相。麻生太郎外相、安倍晋三官房長官と靖国参拝は三役揃い踏み▼自民党の憲法改正草案も出た。これこそ民意をしっかり汲んで貰いたい。

 

   2005年 10月号

9月1日の早朝、前日のイラク、カドミヤの橋上でテロの噂にパニックがおき、巡礼者965人が死亡した映像が飛び込む。午後も同じ様な散乱と食料や薬を求め泣き叫ぶ姿。そして銃を持ち強奪。こちらはハリケーンに襲われた米国ニューオリンズ。あまりに似た光景だが、よく見れば皆恰幅がよい。多くは低所得者向け食料引換券を持つ人々である。貧困が職を奪うのか、始めから努力を捨てているのか、米国の暗部の深さに息を呑む▼11日、衆議院選挙は自民公明327議席で圧勝。自民の杉村氏や民主党首の前原氏の若さに期待する▼同日、イスラエル軍のガザ地区撤退完了。38年に及んだ紛争の一つが終った。ガザは地中海とエジプトに隣接し、363ku、東京都23区の6割程度の面積である。苦しみの坩堝が本当に消えたと信じたい▼18日、東京タワーの横で煌々と光る中秋の名月に見とれた。待宵月、十六夜と三夜連続で高層ビルと東京タワーを廻る月を愛でた。昔はどの家も月見団子と里芋にススキを添えて飾った。中国では月餅を食べ、韓国では半月形の松餅を食べる。10月15日は十三夜。栗名月、芋名月とも呼ばれ、十五夜と同じ場所で見ないと『片見月』と言い縁起が悪い▼22日、テレビ画面に突然エアバスA320が旋回。前脚収納不能のため緊急着陸するのを世界に配信中という。機首を上げながら着陸するが前輪から白煙、そして炎。固唾をのむ中、10時19分飛行機は止まり炎も煙も消え安堵。人が死ぬのを見たくないとしみじみ思った▼25日、大相撲はブルガリアの琴欧州とモンゴルの朝青龍が決定戦。横綱朝青龍が優勝した。来場所のエストニアの把瑠都の金髪の大銀杏が楽しみである▼橙色のチーズを食した。森氏で有名になったミモレットである。噂通りカラスミに似た食感で美味。噛み切れぬと聞いたが、熟成度の違いか堅めのチーズと変わらない。秋の夜長の友に合う。

 

   2005年 9月号

 8月9日スペースシャトル「ディスカバリー」が無事着陸。帰還挨拶で野口飛行士が、明日にでも戻りたいと言った国際宇宙ステーションには、4月15日発の「ソユーズ」の露米の二人のクルーがいる。16日、クリカレフ飛行士は宇宙滞在日数最長の748日を記録。帰還は10月で記録更新中である。来年からは日本実験棟「きぼう」も組み立て予定▼靖国神社の軍事博物館「遊就館」に行った。海軍の人間魚雷と呼ばれた「回天」は全長約15m、直径1mの鉄の塊である。中は一人はいれば身動きも出来ぬ空間。145名の命が散った。人間爆弾「桜花」も展示されている。グライダーの様に母機から飛び立ち体当たりをする。全長6m、幅5m。戦死者722名。若者達は国を守る一念で志願した。その手法は諸外国を驚かせたが、60年後の今、世界は自爆テロに怯えている▼日本が誇った零戦が緑に日の丸をつけ、入口に置かれている。それは余りに華奢で胸が痛くなる。日本の約150の都市はB29に爆撃され、50万人が犠牲となった▼6日広島、9日長崎の原爆投下。15日玉音放送、と毎年8月は戦争を振り返る。こうして平和の大切さを確認してきた。昨今、終戦記念日の8月15日は、近隣国では日本からの解放を祝う日である事を知る▼8日、郵政民営化法案を巡り衆議院解散。構造改革の是非を国民に問う、と小泉首相。十代の若者は選挙権が欲しいと言う。経済シンクタンクがインターネットで掲示する「日本の借金時計」は753兆円を超え、刻々と数値を上げている。それを背負う若者達の分も立候補者の話に耳を傾け、9月11日を迎えねばと思う。

 

   2005年 8月号

 愛知万博に行ってきた。環境博とも言われ、1970年の「太陽の塔」に象徴された、未来をより機能的にと夢見た大阪万博会場と比べ豊かな森に囲まれており、35年の月日の未来に託した変遷を感じる。大小9つの池の水面を渡る風が爽やかである。アニメの森の妖精、モリゾーとキッコロがキャラクターの為か、小さな子供連れも目立つ▼嘗て遠足のバスの車中から見た、田畑の中に小さな山が点在している光景が忘れられなかった。近年里山の荒廃が話題となり、日本独特のものだと知った。薪を集め、筍、タラの芽、椎茸、蕗、栗・・・四季の山の幸を収穫する。瀬戸会場では里山をインタープリターと呼ばれる案内人と散策した。ヒヤリとする土の匂い、鳥の声、沢の水の冷たさ。沢ガニが岩の合間を歩く。ムササビやオオタカも住んでいる。万博会場になり開発によるデメリットもあったろうが、胸を踊らせる子供達を見ると、守るべき環境を体験するのも大切だと思った▼薄暗い廊下の先に、光に照らされた高さ3メートルもの牙が目に入る。シベリア凍土から一昨年発見された、約一万八千年前のユカギルマンモスの頭部である。DNA分析の結果、アジア象に近いと判明。何故象は残りマンモスは絶滅したのか。冷凍室のラボの中は限りない謎に満ちている▼7月26日、野口聡一飛行士を乗せスペースシャトル「ディスカバリー」は宇宙に飛び立った。28日、国際宇宙ステーションとドッキング。90分で地球を一周している。発射時の耐熱タイルと外部燃料タンクの断熱材の剥落の映像を見て、無事に戻れるか心配したが、問題ないとの結論に安堵。野口氏は船外で損傷した耐熱タイルの補修試験をした。宇宙においてもDIYがいかに大切かを痛感▼宇宙は130億年前に出来た。それ以来膨張を続けている。太陽系が出来たのは46億年前。地球に生命が誕生したのはその6億年後。人類の誕生は今から20万年前になる。『地球カレンダー』は地球を一年の暦で表す。一秒を145年で計算し、地球誕生が1月1日、生命誕生が2月17日、恐竜は12月25日頃栄えた。新人の誕生は12月31日午後11時57分。先のマンモスはその1分後となる▼大きく青い地球を背にした野口さんの船外活動に見入る。地球は70%もの水を湛え、大きく息づいて見える。沢山の命を抱え、23.5度の傾斜が昼と夜、季節の変化をもたらし自転している。1961年ガガーリンは「地球は青かった」と語り人類を興奮させたが、今ではその光景がリアルタイムで見られる▼7日、ロンドンで4ヵ所の同時爆破テロがあり、多くの死傷者がでた。ハリー・ポッターが学校に向け乗り込むキングスクロス駅も、悲しみに満ちた。21日、再び起きたテロ事件でブラジル青年が誤認射殺。警官の恐怖も露わになった▼23日朝、エジプト紅海沿岸も爆弾テロに襲われた▼同午後4時35分、東京で震度5。28日午後7時15分、震度4。防災グッズや家具転倒防止器具を点検せねばと思う▼8日、厚生労働省がアスベスト製品を2008年までに全面禁止と発表。中皮腫や肺癌に罹った被害報告が連日されている。花粉飛散を思うと、建物取り壊し時の大気汚染の広がりが心配である▼宇宙から見た地球の美しさと世界中で起きている惨状。命を育んでくれている地球にすまなく思う。

 

   2005年 7月号

 6月1日、韓国漁船が日本の巡視艇の海上保安官2名を乗せ韓国側に逃走。韓国のEEZ内で両国の艦船が漁船にロープを括り40時間膠着▼9日、台湾の漁船約50隻が尖閣諸島近海に集結。日本の巡視船を取り囲み操業取り締まりを抗議▼北朝鮮、韓国、中国、台湾との国境が日々深刻化し、海上保安庁の巡視は命懸けである。彼等の安全を真剣に考える時が来ている▼33年前のウォーターゲート事件の情報提供者、元FBI副長官フェルト氏が名乗り出る。中東戦争、石油ショック、ニクソン退陣。あの頃も不安定な時代であった▼8日、北朝鮮戦2-0でW杯ドイツ大会出場が決定。後半45分、退場を告げられた金映水を在日の李漢宰が必死に宥めコートの外に連れ出す。彼だけが国際ルールを理解していたのか。在日の人達の深い思いを感じた▼ドイツのサッカーコンフェデ杯は16日対メキシコ戦1-2、19日ギリシャ戦1-0、22日ブラジル戦2-2。試合が終わり4時を廻ると空が白み始める。サッカー観戦の中、21日の夏至が通り過ぎていった▼相撲界での骨肉を食む言動に辟易。爽やかさがスポーツの魅力ではないのか▼鋼鉄製橋梁工事の談合、社会保険庁、道路公団と納得のいかぬ事ばかり▼19日硫黄島、23日沖縄と小泉首相が慰霊式に参列。靖国も同じ思いだろうが、隣国には伝わらない▼28日、戦没者の慰霊に天皇、皇后陛下がサイパンをご訪問。赤い花の火炎樹の道をお車は北に。バンザイ岬を含め6ヶ所の慰霊碑を訪れ、黙祷を捧げられた。深く碧い海、蒼空、潮を孕む風。その美しさと惨状との落差、両陛下の思いに感銘を受けた。

 

   2005年 6月号

 5月9日、イラクで拘束された斉藤昭彦さんは、フランス外人部隊に21年間所属した後、昨年12月に英国の民間警備会社に入社。外人部隊は1831年に創設され、今も正規軍と共に活動し、5年で国籍、15年で年金が貰える▼傭兵と言えばバチカンの大聖堂のスイス衛兵が有名だが、28日に伝えられた斉藤さんの最後は、死ぬまで戦う傭兵そのものである▼26日、旧日本兵のフィリピン・ミンダナオ島で生存のニュースで沸いた。しかし真偽は不確かである。終戦間近、『自給自戦』となり帰還兵は僅か2割であった▼いつ頃教科書から「レイテ戦記」や「ビルマの竪琴」が消えたのだろう。今の若者はその名前すら知らない▼天皇・皇后両陛下の7日から14日アイルランド、ノルウエー訪問会見で、国際親善の基は人と人との相互理解で、利害関係を生ずる国を越える、とのお言葉が印象的である▼27日、蓮池薫さん翻訳の韓国のベストセラー「孤将」が発売された。日韓の相互理解に役立ちたいと語る表情は、帰国時のように精悍であった▼隣国との打開に陛下や蓮池さんの言葉から良いヒントがないものか▼上旬は東京湾でコク鯨、下旬はレッサーパンダの立ち姿が心を和ませたが、報道の過熱ぶりは気になる▼30日、元大関貴ノ花が55歳で死去。小学1年の時上京。何をされても、少し困った顔をして黙っている少年だった。水泳では飯が食えぬと角界入りした話は有名だが、幼い時に父を亡くした事が、15歳の少年にそんな言葉を言わせたのだろうか。人一倍の名声と苦労に、寂しさを漂わせ、戦後を駈け抜けて行った。

 

   2005年 5月号

 予てから懸念されていた韓国と中国の反日が火を噴いた。特に中国インターネットの凄まじさ、小泉首相を豚に模すなど一端を垣間見た。誹謗されるのは気持の良いものではない。戦後60年間、ひたすら頭を下げたではないか、ODAや円借款をいくら出したと思うのか、日本とて火の車なのに、など思いが湧いてくる。嘗ての日本の反米デモを、米国ではこんな風に見ていたのかとも考える▼何故日本は隣人に憎まれるのかと欧米は不思議がる。取り敢えず言ってみると言う国民性もあるやもしれぬが、何より富める国(現状は借金だらけだが)とそうでない国との軋轢ではないか。軍事に手を出さず、ひたむきに働き、貧富格差を少なくした事で今日がある事を、声高に言う必要があるのだろうか。鬼畜米英教育は日本を敗戦へと導いた。その辺りを参考にして貰えるとよいが▼4月2日、ローマ法王ヨハネ・パウロ二世逝去。26年の在位中、銃弾にも負けず133ヵ国を歴訪して、世界平和を説いた姿が印象的である。祖国ポーランドの『連帯』を支持し、東西の壁の崩壊へと繋がった。ご遺体の尊顔は毅然とされ、改めて強さを感じた。19日、ドイツ人のベネディクト16世が選出された。どんな法王に成られるか、興味は尽きない▼25日、JR福知山線事故は死者107人、負傷者460人の痛ましい悲劇になった。現場への合理化の皺寄せと安全管理の希薄さが浮彫となった。日航機ミスと共に管理側によく考えてもらいたい▼5月1日、北朝鮮が日本海に向けて短距離ミサイルを発射。郵政民営化より、こちらの対策の方が優先なのではと思う。

 

   2005年 4月号

 ライブドアとニッポン放送を巡る連日の駆け引き報道で、M&Aに詳しくなった。しかし言葉は古めかしい。白馬の騎士、王冠の宝石、焦土作戦、毒薬。その他に買収側に付く『灰色の騎士』もある。「倫理に劣る、教育が悪い」と言う政治家、「マネーゲームはけしからん」と言う企業家、フジサンケイグループの人達のプライド。外野席にはどれもちょっと面白い▼狙われる『眠れる美女』と呼ばれる企業。『鮫監視人』という職種は、それを逸早くキャッチし知らせる。外国の参入は早晩来る。勝負の行方は判らぬが、堀江氏は良い警鐘をしてくれた▼3月25日から愛知万博が始まった。121の国と4機関が参加した。今回は「自然の叡智」をテーマに環境問題に取り組んでいる▼第1回は1851年ロンドンで25ヵ国で催された。日本が初めて参加したのは1867年の第2回パリ万博で徳川幕府、佐賀藩、薩摩藩が出展。それがジャポニズムブームに拍車を掛け、ゴッホ、モネ、ルノアール、ドガ等の印象派の名画が生まれた▼16日の島根県「竹島の日」制定に端を発し、28日、韓国の観光客や報道陣60人が島に上陸した。旗を振り「独島」と叫ぶ女性達は、日本の韓国スター追っかけファン層と同年代に見える▼国際司法裁判所に持ち込めれば日本の正当性は認められるが、韓国は応じない。北方、尖閣諸島と領土問題は長引くほど深刻化している。海という城壁の中で安穏な日々を過ごしすぎていたのか。平和的な解決を早くしたい▼4月はいよいよペイオフ解禁である。桜の花を愛で乍らも自衛策を忘れてはならない。


   2005年 3月号

 1月30日、懸念されていたイラク選挙はイラク国民の文字通り命を賭けた投票で成功した。岡本行夫氏が講演で中産階級が多いので必ず再建すると言明されていたが、早い実現となった。イラクの婦人達の力強い笑顔に明日の確かさを感じた▼皇太子殿下が2月21日の誕生日に読まれたドロシー・ロー・ノルト(米国の家庭教育学者)の本の注文が連日殺到している。If children liveではじまる19節の詩で、最後の「可愛がられ抱きしめられた子供は世界中の愛情を感じとることをおぼえる」は原文では「好意と共に生きた子は世界は住むのに素敵な場所だと学ぶ」となる。ご夫妻は愛子様の背中に天使の羽を見ていらっしゃると、雅子様の微笑みを拝見する度に思う。寝屋川市の事件など改めて考えさせられた▼26日、日本のロケットH2Aは無事打ち上がった。何度か失敗をし、背水の陣の関係者のホットした笑顔▼同じ頃、長野で第8回冬季スペシャルオリンピックスが開催した。この大会は故ケネディ大統領の妹ユニスが、姉の為に1963年自宅で催し、68年にケネディ財団のもと組織化された経緯を持つ。選手達は感情が豊かだ。メインテーマ『勇気の翼』を現す天使が空中を舞うと歓声をあげる。ダンスが始まれば踊り出す。聖火が到着すると駆け寄り手を伸ばしてトーチを一緒に持つ。トーチランナーの伴走者はオリンピックメダリストや監督だったが、彼等の溢れ出る笑顔が印象的だった。知的障害の人達が、どんなに素晴しい贈物を分けてくれたか感得。善意、希望、明るい未来を、久方に味わった春宵であった。


   2005年 2月号

 21年振りの元旦の雪景色に胸が躍った。しかし現実に返れば新潟の積雪が心配である。スマトラ沖地震の津波被害は、1ヵ月後の1月26日、死者29万7千人。長崎と広島の原爆投下の死者11万人、負傷者13万人であったことを思えば被害の大きさを改めて感じる。『津波』という言葉が世界的に認知されたのも悲しい事である▼最近、雪の結晶の様な青いイルミネーションが増えた。その青色LED訴訟の和解が11日にあったが、当初2万円の報奨金に対し、利益の5%6億円での和解である。発見者の中村修二氏と日亜化学工業との見解の相違は無理からぬが、経営者側に”たかが選手”と同じ感性があるようにも感じる。ノーベル賞受賞者の田中氏の様な生き方もあるが、知的財産など個人の能力に敬意を払う事は必要になるだろう▼12日、東京大学研究室のHPR-2ロボットが会津磐梯山を踊った。ホンダのアシモは握手をし走って跳躍する。ソニーのキュリオはXマスにハンドベルを生演奏。今、日本はヒューマノイドロボットに夢中である▼14日、土星の衛星タイタンの海岸や川の痕跡のある映像を7年の航行の末、探査機ホイヘンスが送ってきた。約40億年前の地球に組成が似ており生命誕生の解明の期待が募る。一方、宇宙ゴミの存在も気に掛かる。青く美しい地球を大切にしたい▼雪の予報の15日朝、電車は学生で溢れていた。プリントの確認に余念がない者、赤本を拡げる者、同じ学生服の一団は賑やかに楽しそうである。駒場東大前駅で彼等はどっと降りて行った。センター試験の始まりである。健闘を祈る。


   2005年 1月号

 12月14日は忠臣蔵をご覧になった方も多かったろう。『雪の別れ』で有名な南部坂は当研究所の前にある。坂を上って左手の氷川神社に瑶泉院のいた浅野土佐守の屋敷があり、右手の勝海舟の屋敷跡には母校の氷川小学校。坂沿いのアメリカ大使館宿舎は元三井家の屋敷で、春はその土手で土筆を摘み、溜池の弁慶橋下でザリガニを釣った。雪が降れば南部坂の急勾配で板切れでそり遊び。一ツ木通りはベーゴマ、メンコの遊び場。戦後の長閑な時代であった。氷川小学校は僅かになった学童の大半がコリアや中国の児童となり、平成5年廃校となった。一ツ木もいつの間にかハングルが溢れ、夜は屋台が並びソウルかと錯覚する。▼昨年は朝鮮半島の報道が多かった。南は団塊の世代を巻き込んだ韓流の嵐。近くて遠かった事を実感しながら、その文化に少なからず触れた。このボーダレス現象が逆に韓国で拉致問題の認知に繋がればと思う。日本の何倍もの被害者がいると聞く。日韓が解決に向けて協力する日が早く来る事を願う▼北朝鮮のコッチャビ。内戦が続いたアフリカ諸国の飢餓。拉致されAK47の銃を持たさた少年兵は麻薬に冒され、少女達は尿道が裂け失禁に苦しんでいる。せめて子供達だけでも平安に暮らさせたい▼11月も半ば過ぎると5時には暗くなる。夜明けも日に日に遅くなり、一日が短くなっていく様に感じる。記憶にないほどの暖冬であったが、それでも冬至の21日は冬らしくなった。夜の食卓に南瓜が並び、湯船には柚が浮かんでいた。この日から日の出、日没共に分刻みで夏至に向かう。

 

 

 

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